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古着のサイズ選び|実寸から失敗しないサイズ感を判断する方法

ストライプのシャツを平置きし、その両脇に畳んだ服を並べた様子

古着通販で一番困るのは、タグのMが自分の知っているMとは限らないことです。ただし、実寸を見るだけでもまだ足りません。測り方が違えば数字は変わり、「お気に入りの1着」だけでは、どこからがきつく、どこからが大きすぎるのかが分からないからです。

先に結論同じ種類の手持ち服から「気に入っている・きつい・大きすぎる」の3着を同じ方法で測ります。好きな服を中心、残り2着を買わない境界にする。候補が境界に近い、または測点が不明なら購入前に聞き直します。

結論:タグではなく、3着の実寸で決める

ぼくなら、気に入っている1着だけでは決めません。同じ種類の服から「気に入っている」「きつい」「大きすぎる」の3着を測ります。好きな1着は中心値、残り2着は買わない境界です。候補の実寸が中心へ近いかだけでなく、嫌だった側の数字へ寄っていないかを見る。これなら「オーバーサイズは身幅を何cm足す」といった他人の固定値に、自分の体を合わせずに済みます。

1気に入っている服

目指す中心。ただし、季節と中に着る枚数を候補と揃えます。

2きつくて着なくなった服

小さい側の境界。どの部位が嫌だったかもメモします。

3大きすぎて着なくなった服

大きい側の境界。身幅だけでなく丈や袖の不満を分けます。

これはフィットを保証する計算式ではなく、他人の「ちょうどいい」を自分の実物へ置き換える判断方法です。3着がなければ、好きな1着だけでも構いません。ただし、その場合は境界が不明なので、少しでも迷う寸法があれば「追加確認」に回します。

タグのサイズと、服の実寸は別の数字

タグのM、身体の胸囲、平置きした服の身幅は、同じものではありません。JISの衣料サイズ表示には、服を着る人の身体寸法を示す考え方と、特定部位の衣服寸法を示す考え方があります。一方、フリマの「身幅55cm」は、多くの場合、完成した服を平らに置いて脇下から脇下まで測った値です。

混同しないための順番
タグは候補を探す入口。身体寸法はメーカー表を見るときの基準。平置き実寸は、目の前の古着と手持ち服を比べる数字です。どれか一つを、そのまま別の数字へ読み替えません。

古着はさらに、年代や国の表記差、洗濯による縮み、着用による伸び、裾上げや身幅詰めが重なります。同じブランド、同じ表記でも、今そこにある服の寸法を優先する理由はここにあります。

「9AR」と「86A4」は、同じ読み方をしない

古着のタグでよく見る2つの表記は、見た目が似ているだけで別の体系です。レディースの先頭の数字は号数で、バストの区分を表します。メンズの先頭の数字はチェストそのものです。9号のつもりで86を探しても、意味がつながりません。

レディースの9ARとメンズの86A4のタグを並べ、それぞれの数字と英字が何を指すかを矢印で示した手描きの図。右側にはシャツの身幅を測る位置が描かれている
レディースの9ARは号数・体型・身長区分、メンズの86A4はチェストの実数・体型・身長区分。どちらも体の寸法で、服そのものの寸法ではありません。服の大きさは、手持ちの一着と同じ場所を測って比べます。
位置 レディース(例:9AR) メンズ(例:86A4)
数字 号数。バストの区分。 チェストの実数。86ならチェスト86cm。
英字 体型区分。A=その身長とバストの組合せで出現率が最も高いヒップの人。Y=Aよりヒップ4cm小さい、AB=4cm大きい、B=8cm大きい。 体型区分。A体型はチェストとウエストの差が12cm。
末尾 身長区分。PP=142cm、P=150cm、R=158cm、T=166cm。 身長区分。A2=155cm、A4=165cm、A6=175cm、A8=185cm。

ここで効いてくる数字がひとつあります。同じ9号でも、Y体型とB体型ではヒップが12cm違うということです。号数だけを見て「9号ならいける」と決めると、この12cmを見落とします。

そして、これらは全部ヌード寸法です
全日本婦人子供服工業組合連合会は、洋服に表示されたサイズは洋服そのものの寸法ではなく、着用する人の身体のサイズだと説明しています。「W63」のスカートは、スカートのウエストが63cmという意味ではありません。ウエスト63cmの人が無理なく着られるゆとりを見込んで作られている、という意味です。
つまりタグを読んでも、その服の実寸は1cmも分かりません。メンズ・レディースの換算表を探すより、平置き実寸を1つ聞いたほうが早い理由がここにあります。

そのタグの記号は、1992年の日本人の体でできている

古着の9ARタグは当時の規格のまま残り、規格の更新後も実寸を手持ちの服と比べて選ぶことを示した図

ここまで「タグは当てにならない」と書いてきましたが、なぜ当てにならないのかを、規格そのものの話として書いておきます。古着を触る人には、けっこう効く話だと思っています。

衣料サイズのJISは、2023年3月20日に20年ぶりに改正されました。改正前のJISが根拠にしていたのは、1992年から1994年にかけて実施された日本人の体型データです。改正の時点で、すでに30年が経っていました。新しい根拠データを取るために、2014年から2016年にかけて18歳から90歳の男女3,200人を測り直し、2017年にデータベースが作られています。

そして、この改正で成人女子の体型区分(A・AB・B・Y)は削除されました。規格の原案作成に関わった委員の解説には、削除の理由がはっきり書かれています。バストに対するヒップの大きさで体型を分ける従来のやり方が、日本女性の体型に適さなかったからです。同じ改正で、男女兼用のサイズが新しく加えられました。消費者アンケートでは、男女兼用サイズの存在を知らない人が40%近くいたそうです。

つまり、こういうことです
古着屋やフリマに並んでいる「9AR」のAは、規格をつくった側が「日本の女性の体型に合っていなかった」と判断して、2023年に消した記号です。
それでも服のタグは縫い付けられたまま残ります。古着は、規格が更新されても書き換わらない。ぼくらが読んでいるのは、その服が作られた時代の物差しです。

だから「昔のMは小さい」といった感覚は、まったくの気のせいではありません。ただしその感覚を、目の前の1着に当てはめる道具にはできません。規格が変わったことを知っていても、そこにある服が何cmかは、測らないと分からないままです。背景を知ることと、買う判断は別の話として持っておきます。

1着ではなく、3着を測る

3着は必ず候補と同じ種類から選びます。Tシャツの基準でデニムジャケットを決めたり、薄いシャツの基準で裏地付きコートを決めたりしません。ジャケットなら、候補と同じように重ね着した状態で気に入っているジャケットを選びます。

  1. 数値より先に、不満を書く。「胸が張る」「袖が余る」「座ると腿が苦しい」のように、嫌だった場所を一言で残す。
  2. 同じ床、同じ置き方、同じメジャーで測る。服を強く引っ張らず、しわだけを軽く整える。
  3. 候補の同じ部位を並べる。中心との差より先に、嫌だった服の側へ越えていないかを見る。

たとえば、きついジャケットの身幅が52cmでも、原因が身幅とは限りません。アームホールや肩の可動域が原因なら、候補の身幅が54cmでも安心とは言えない。数値と不満の場所をセットにするのが重要です。

トップスを同じ条件で測る

平置きにしたシャツを裏側から見て、肩幅・身幅・着丈・袖丈をどこからどこまで測るかを示した手描きの図。右側にはラグランスリーブのスウェットで、後ろ襟の中央から袖口までを測る裄丈が別に描かれている
肩幅は肩先から肩先、身幅は脇下の縫い目間、着丈は後ろ襟の付け根から裾、袖丈は肩先から袖口。肩の縫い目が無いラグランだけは、後ろ襟の中央から袖口までの裄丈で比べます。測るときは平らに置いて、生地を引っぱらないこと。襟を着丈に含める店もあるため、数値だけでなく測り方の説明・写真も確認します。
服 先に見る数字 数字だけでは分からないこと
Tシャツ 身幅と着丈。肩幅・袖丈で見え方を調整。 古い丸胴のねじれ、首リブ、プリント位置。
スウェット 身幅、着丈、リブを含む袖、セットインかラグランか。 裾・袖リブの戻り、裏毛の厚さ。
シャツ 肩幅、身幅、首回り、袖丈。 一番上まで閉じるか、羽織りで使うか。
ジャケット 同じ枚数を中に着るジャケットと比較。 アームホール、肘、背中の動きやすさ。

パンツはウエストだけで決めない

パンツを平置きし、ウエスト、総丈、腿幅、前股上、後ろ股上、股下、裾幅の測定位置を示した図
ウエストは自然に置いた値か、左右へ軽く張った値かで差が出ます。腿幅も「股下の付け根」か「付け根から数cm下」かを揃えます。

パンツはウエストだけで決めないこと。前股上・後ろ股上、腿幅(出品ページでは「わたり幅」と書かれることが多い数字です)、股下、総丈、裾幅まで見ます。同じウエストでも、股上が浅ければ穿く位置が変わり、腿が細ければ座ったときに苦しくなります。裾上げ済みの古着では、タグのレングスより今の股下・総丈を優先します。

形と素材で、効く数字が変わる

ドロップショルダーとラグランは肩幅だけで決めない

肩線を落として着るドロップショルダーは、肩幅が大きくても設計どおりの場合があります。ラグランには通常の肩線がないため、後ろ襟中央から袖口までの裄丈で比べます。どちらも身幅、着丈、袖の終点を一緒に見ます。

伸縮素材は「置いた寸法」と「伸び方」を分ける

ニットやリブ、ポリウレタン混は、平置き寸法が同じでも伸びと戻りが違います。強く引っ張った最大値だけでは普段のフィットを判断できません。自然に置いた寸法を基準にし、必要なら素材表示と伸縮性を質問します。

縮む前提で売られている服がある

「洗ったら縮むかも」は曖昧に聞こえますが、メーカーが数字を公開している例があります。Levi’sは防縮加工をしていないShrink-to-Fitについて、洗濯機で洗って乾燥機にかける前提なら、ウエスト27〜36インチは1インチ、38〜48インチは2インチ、50インチ以上は3インチを足して買うよう案内しています。股下は27〜34インチで3インチ、36インチ以上で4インチです。

股下の3インチは、約7.6cmです。裾上げ1回分に相当します。これは「誤差」ではなく設計です。古着の場合、その工程が前の持ち主によってすでに済んでいるのか、まだなのかが分かりません。だから未洗いのデッドストックと、何度も洗われた個体を、同じタグの数字で比べられない。ここも、タグではなく今の実寸を聞く理由になります。

アウターは中に着る服を揃える

Tシャツの上でちょうどよいGジャンと、スウェットの上でちょうどよいGジャンは別の基準です。比較用の手持ち服を着たときの内側まで候補と揃えます。平置き実寸だけでは腕を前へ出したときの背中やアームホールの窮屈さまでは証明できません。

フリマで追加確認する方法

メルカリの案内にも、中古品の採寸は数mm〜数cmの誤差が生じる場合があるため、購入前に出品者へ確認するよう記載があります。これは「数cm違っても問題ない」という意味ではありません。自分の買わない境界に近い数値ほど、測り直してもらう価値があります。

実寸が1つも書かれていない出品はどうするか

サイズ表記だけで実寸が無い出品は、珍しくありません。ここで換算表を探しにいくと遠回りになります。前に書いたとおり、タグの記号はヌード寸法なので、そこから服の実寸は出てきません。計算で埋められない空白です。

ぼくなら、こう分けます。自分の境界から明らかに離れていそうな候補なら、寸法を1つか2つ聞いて済ませる。境界の近くにありそうなら、写真ごと頼む。聞く数を増やすほど返事は遅くなるので、購入判断を変える寸法だけに絞ります。

  1. 聞く寸法は2つまでに絞る。トップスなら身幅と着丈、パンツならウエストとわたり幅。ここが境界を越えるかどうかで、ほとんど決まります。
  2. 測り方を指定する。「脇下の縫い目から反対の脇下まで」のように始点と終点を書く。部位名だけだと、出品者の測り方で数cm動きます。
  3. 返事が来ない、または測り方を指定しても部位名だけで返ってきたら、見送る。数字は来たのに測点が揃っていない状態が、いちばん外します。

出品者に確認するときの文面

そのまま調整して使える例

購入を検討しています。お手数ですが、服を平らに置き、生地を強く引っ張らない状態で、①脇下の縫い目から反対側の脇下までの身幅、②後ろ襟の付け根中央から裾までの着丈を確認いただけますか。可能であれば、メジャーの始点と終点が一緒に写る写真も追加いただけると助かります。

パンツなら「ウエストを自然に置いた値か、軽く張った値か」「腿幅は股下の付け根のどこで測ったか」を加えます。質問を増やしすぎず、購入判断を変える寸法だけに絞ると、出品者も答えやすくなります。

買う・追加確認・見送る

BUY|買う

重要寸法が自分の好みの範囲内で、基準服と候補の測点・重ね着条件も揃っている。

ASK|追加確認

重要寸法が欠ける、置き方が不明、または自分のきつい・大きい境界に近い。

PASS|見送る

候補がすでに嫌だった服の側へ越えている、または決定的な寸法を確認できない。

最後に残る不確実さ
平置き実寸は失敗を減らせますが、落ち感、腕の可動域、座ったときの圧迫までは保証しません。返品条件のない一点物では、「数字が足りないまま価格だけで急がない」こともサイズ選びの一部です。

それでも合わなかったときに、いくら足せば使えるか

一点物の古着に、返品はほぼありません。だから外したときの出口を先に知っておくと、買う前の判断も変わります。直すか、売り直すかの2つです。

お直しの料金は、チェーン店が価格表を公開しています。例として、パンツの裾を短くするのが3,300円から、ウエストを大きく・小さくするのが4,290円から、裾幅を細くするのが2,970円から。別の店舗ではジーンズ・チノの丈直しが1,100円から、紳士物のウエストを三方から詰める加工が8,800円からと案内されています。

「から」を外して考えない
これはどれも下限です。生地が厚い、ステッチが特殊、裏地がある、ベルトループをずらす必要がある——古着はこの条件に当たりやすく、実際の見積もりは上へ動きます。3,000円台で直ると決めて買うと、だいたい外します。本体価格に足して考えるなら、下限ではなく、その倍を見ておくくらいでちょうどいい。

直しやすさには、はっきり差があります。裾を短くするのは、いちばん安くて確実です。元の長さに戻せないという意味では不可逆ですが、判断は簡単です。ウエストを詰めるのは金額が上がり、三方詰めまで行くと本体価格を超えることもあります。一方で身幅や肩幅は、値段以前に形が変わります。袖付けの位置が動くと、その服のシルエットではなくなる。ここは「直せるか」ではなく「直したら別の服になるか」で考えたほうがいい。

売り直す場合は、メルカリの販売手数料が10%です。買値と同じ額で売れても、手数料と送料の分は戻りません。ぼくは、この差額を「試着代」として許せるかで決めています。許せない金額なら、その候補は最初から追加確認へ回すべきだったということです。

買う前に、ここまで考えておく
裾だけで済むなら、1〜2サイズ長い個体も候補に入れていい。身幅が境界を越えているなら、直し前提で買わない。この線を先に引いておくと、迷う時間が減ります。

よくある質問

身長と体重を伝えればサイズは分かる?

大まかな参考にはなりますが、肩幅、胸囲、胴の長さ、好みは同じ身長・体重でも違います。手持ち服の実寸を優先します。

出品者と1cm違ったら見送るべき?

一律には決められません。重要なのは、その1cmが自分の境界を越えるかです。境界から離れていれば測定差として吸収できる場合があり、境界上なら再確認します。

メンズとレディース、どちらの表記で探せばいい?

どちらでも構いません。ただし換算表を頼りにしないこと。レディースの号数はバストの区分、メンズの数字はチェストの実数で、そもそも別の体系です。どちらの表記から入っても、最後は同じ測点の平置き実寸で比べます。

海外サイズを日本サイズへ換算すれば十分?

候補検索の入口には使えますが、古着は縮みや直しもあります。換算表で絞り、最後は同じ測点の実寸で判断します。

参考にした公式・専門資料