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Apple Watchのバッテリー交換は20,700円|80%には二つの意味がある

中古のApple Watchを買う前に知りたいのは「修理に出すといくらか」ではなく、この一本がもう交換費用を抱えているかどうか、ですよね。ぼくが調べ始めたのは、出品写真に出ている「80%」が何の80%なのか分からなかったからです。料金を公開しているApple正規サービスプロバイダの保証外修理料金表では、バッテリー交換は20,700円(税込)。ただしその金額が使える世代は限られていて、画面の「80%」も、どの画面かで意味が変わります。先に金額と世代の線を引いてから、出品を見にいきます。

中古Apple Watchのバッテリーの状態画面で最大容量を確認するイメージ

いくら上乗せになるのか

「Appleなら◯円」という一行は、この記事には置きません。置けない理由をApple自身が書いているからです。Appleの修理ページには「Apple正規サービスプロバイダは、サービス料金を独自に設定しているため、見積りも独自のものが提供されます。」とあり、続けて「最終的な修理サービス料金は、デバイスの診断・検査を行った上で確定されます」「料金には、別途消費税がかかります」「デバイスを配送する必要がある場合は、配送料が追加されます」と書かれています。つまりAppleの見積り額は税別で、正規サービスプロバイダの金額はそれぞれ別。ひとつの数字にまとまりません。

そのうえ同ページの保証外料金欄はJavaScriptで描画されていて、ぼくが確認した2026年9月13日にはcurlでもWebFetchでも「料金を読み込めませんでした」としか取れませんでした。二次メディアが載せている金額は値が割れています。だからApple直営の金額は、この記事に一行も置いていません。

置けるのは、料金表を自社サイトで公開しているApple正規サービスプロバイダの数字です。クイックガレージの保証外修理料金表では、バッテリー交換は20,700円(税込)。Ultra 1〜3、SE 第1〜3世代(GPS/Cellular)、Series 6〜11のすべての行で同額です。

区分 金額(税込) 何の金額か 出典
バッテリー交換(保証外修理) 20,700円 Ultra 1〜3/SE 第1〜3世代/Series 6〜11の全行で同額 クイックガレージ 料金表
本体交換(Series 6〜11 アルミ GPS) 52,800円 バッテリー交換で済まなかった場合 同上
本体交換(ステンレス/Hermès/チタン) 72,800円 同上 同上
本体交換(Edition チタン) 87,800円 同上 同上
本体交換(SE) 35,800〜41,800円 同上 同上
AppleCare+の過失・事故損傷サービス料(Watch/Watch Nike) 9,200円 落下・水没など。劣化の交換ではない 同上
AppleCare+の過失・事故損傷サービス料(それ以外のWatch) 10,700円 同上 同上

20,700円は天井ではありません。診断の結果が本体交換になれば、Series 6〜11のアルミGPSで52,800円。バッテリー交換との差は32,100円です(52,800 − 20,700)。逆に言えば、バッテリー交換で収まるなら本体交換より32,100円安く済む、ということでもあります。

AppleCare+の9,200円・10,700円は、落下や水没といった過失・事故損傷のサービス料で、劣化したバッテリーを替える話ではありません。同じ料金表に並んでいますが、別物です。検索で出てくる一桁安い金額が、どちらを指しているかを見てください。

料金以外にも、この表には条件が付いています。「※修理価格は本日時点の価格であり、常に更新されます。ご来店時に適用価格を必ずご確認ください」。そしてApple Watchは即日修理ができません。「iPhone以外の製品は、お預り修理(納期の目安は3〜7日)となります」「店舗に部品の在庫がございませんので、お預り修理とさせていただいております」。配送修理は受け付けておらず、その場合はAppleに直接依頼します。診断料はMac以外は無料です。「安く買って替えればいい」と考えるなら、3〜7日使えない期間も一緒に買うことになります。

もうひとつ、中古では順番が効いてきます。クイックガレージのQ&Aには「修理の際は『探す』機能をオフにしていただく必要がありますので、Apple IDとそのパスワードがわかる状態でご来店ください。」とあります。アクティベーションロックが外れていない個体は、使えないだけでなく修理にも出せません。先にそこを確認してください(アクティベーションロックの確認へ)。

世代で、上乗せ額が変わる

20,700円は全世代の値段ではありません。価格表に行があるのはUltra 1〜3、SE 第1〜3世代、Series 6〜11だけ。Series 5以前と、Series 12・Ultra 第4世代は表にありません。中古で数が出るのは旧世代のほうなので、これは効きます。安い個体ほど、正規の公開価格が存在しない側に寄ります。

一方、非正規の修理店にも公開料金表があります。スマートウォッチ修理LABOのバッテリー交換料金(税込)と、上の20,700円を並べるとこうなります。

世代 非正規の公開料金 正規サービスプロバイダ 差額
Ultra 第2世代 19,800円(要お問い合わせ) 20,700円 900円
Ultra 初代 15,800円 20,700円 4,900円
Series 10 15,800円 20,700円 4,900円
Series 9 12,800円 20,700円 7,900円
Series 8 11,800円 20,700円 8,900円
Series 7 9,800円 20,700円 10,900円
Series 6/SE 第1・第2世代 8,800円 20,700円 11,900円
初代〜Series 5 8,800円 表に行なし 出せない
Series 11/SE 第3世代/Ultra 第3世代 表に行なし 20,700円 出せない
Series 12/Ultra 第4世代 表に行なし 表に行なし 出せない

ぼくが使っている式はこれだけです。
差額 = 20,700円 − その世代の非正規料金

いちばん古い側は20,700 − 8,800で11,900円。いちばん新しい側はUltra 第2世代の20,700 − 19,800で900円です。下限と上限で一桁違います。だから「非正規のほうが安い」は世代の話であって、機種をまたいだ一般論になりません。Ultra 第2世代で900円のために正規以外へ回す理由は、ぼくには見当たりませんでした。

表の端の三行が、この記事でいちばん役に立つ場所だと思っています。
初代〜Series 5:正規サービスプロバイダの料金表に行がありません。上乗せ額が、見積りを取るまで確定しない世代です。
Series 11/SE 第3世代/Ultra 第3世代:非正規側のバッテリー交換表に行がありません(画面割れの表には載っているのに、バッテリーの表には無い)。安い側の選択肢が公開価格として存在しない世代です。
Series 12/Ultra 第4世代:どちらの表にもありません。
数字が出ない世代を「たぶん同じくらい」で埋めないでください。そこが総額の上振れになります。

どちらの料金表も、掲載日・更新日の記載がありません。クイックガレージ側には「常に更新されます」の注記があります。上の差額は2026年9月13日に両ページで確認した値から組み立てたもので、来店時の適用価格とは別です。

その「80%」は、最大容量か充電残量か

ここが、上位の記事がどこも書いていない一点です。出品写真に写っている「80%」が二つの別々の画面のどちらなのかで、あなたが20,700円を払うかどうかが変わります。上位はそろって「修理に出すといくらか」を書いていますが、買う前にその個体が交換費用を抱えているかを写真で見分ける手順は、ぼくが見た範囲ではどこにもありませんでした。

最大容量のほうは、Appleのユーザガイドが「新品時と比較したApple Watchのバッテリー容量を確認できます」と書いている数字です。Watchの「設定>バッテリー>バッテリーの状態」に出ます。充電残量のほうは、文字盤やコントロールセンターに出る、いま残っている電気の量です。後者は劣化について何も語りません。しかも最適化された充電は、使う時刻まで80%を超える充電を保留することがあるので、健康な個体でも「80%」で止まって見えます。

写真に写るもの 何を示すか 上乗せ額の判断に使うか 限界
バッテリーの状態の「最大容量」 新品時と比べた容量 これだけを使う 実際の駆動時間も将来の変化も保証しない
文字盤・コントロールセンターの充電残量 撮影時に残っている電気 使わない(情報ゼロとして扱う) 最適化充電で80%に見えることがある
サービス表示・点検の通知 本体が案内する点検・修理の必要性 出ていたら見積り前提で考える しきい値の%は公開されていない
出品者の使用感(落ちる・熱い・充電しない) 申告ベースの不具合 数える前に見送りを検討 数値の代わりにはならない
写真も回答も無い 上乗せ額を丸ごと足す 「記載なし=良品」ではない

サービス表示の行に%を書かないのは、%が公開されていないからです。Appleのユーザガイドは「Apple Watchでは、バッテリー容量が大幅に減少したときに通知され、サービスのオプションを確認することができます。」としか書いていません。修理店のブログにある「80%未満で出る」といった数字は裏取りできませんでした。無い数字を埋めるより、空けたままにします。

設計値として公開されているのは、ここまでです。Appleのバッテリーページに「Apple Watchのバッテリーは、フル充電サイクルを1,000回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計されています。」とあります(iPhone 14以前は500回、iPhone 15モデルとiPadは1,000回と、製品ごとに書き分けられています)。

これを「約◯年」に割り直さないでください。Appleのページに年数は書かれていませんし、1回の充電が1フル充電サイクルとは限りません。毎日充電する人の実際の到達年数は、単純な割り算より長くなります。年数に直して断定すると、まだ十分使える個体を切らせる側に外れます。ぼくは「設計値は1,000サイクルで最大80%」までで止めています。

80%を割っても、中古では無償にならない

Appleの修理ページに「バッテリー容量が80%を下回った場合は、追加料金なしでバッテリーを交換いたします。」という一文があります。この一文だけを読むと、80%割れは無償の線に見えます。中古では、そうなりません。

この一文が置かれているのは「あらゆる角度から保証。」というAppleCareプランの特典一覧の中で、過失・事故による損傷の保証、優先サポート、盗難・紛失と並んだ一項目です。つまりAppleCareの特典としてだけ書かれています。そして同じページの別の場所には、こうあります。「保証は、過失や事故による損傷や、通常の使用によるバッテリーの劣化には適用されません。」

二つを並べて初めて意味が通ります。1年間の製品保証は、劣化そのものを対象にしません。無償になるのはAppleCareに入っている場合だけで、中古で買った個体にAppleCareが引き継がれているのは普通のことではありません。保証期間が残っている個体でも、劣化は保証外です。

だからこの記事では、80%を合否の線にしません。「85%なら買い、80%なら見送り」という線を置かないのは、80%がもともと購入判断のために引かれた線ではないからです。中古を買う人にとっての80%は、Apple自身が劣化と扱う水準の目安まで。そこから先は、買値にいくら足せるかの話に移ります。

中古のApple Watchの最大容量が実際に何%台に分布しているかも、公開された一次情報が見つかりませんでした。推定値は置きません。

修理そのものには保証が付きます。Appleは修理サービスについて、実施日から90日間、またはApple製品保証の残期間のうち長いほうの保証が付くと案内しています。これは「替えた後」の話で、「替える必要があるかどうか」の判断とは別です。

非正規に回す前の但し書き

差額の表だけ見れば、古い世代ほど非正規が安く見えます。ただ、その前に読んでおく一文があります。Appleは自社のバッテリーページで「リチウムイオンポリマーバッテリーを内蔵した製品のバッテリーサービスは、必ずAppleまたは正規サービスプロバイダに依頼してください」と案内しています。

ぼくはこれを「非正規は危険だ」とは書きません。Appleの案内はこの言い方までで、それ以上は書かれていないからです。「非正規で交換すると以後Apple正規のサービスを受けられなくなる」「防水性能が落ちる」という断定も、今回見たどのページにも根拠がありませんでした。裏の取れないことを断定に格上げしないでおきます。代わりに、公開ページに実際に書いてある条件を並べます。

条件 公開ページの記載 読者にとっての意味
使うバッテリー 純正ではなくiPlan製。「生産工場やその他の事情により調達が難しくなった場合、吟味の上別のバッテリーを使用することもあります」 同じ部品が来るとは限らない
直らなかった場合 バッテリーを元に戻して返却。お手数料4,400円 改善しなくても4,400円は出ていく
作業時間 約2〜3時間。開けたパネルの再圧着は完全硬化まで4〜6時間 店頭で受け取る時点では未硬化
画面修理と同時申込 バッテリー交換が半額の4,400円。ただし「※Series7以前の場合」 新しい世代には効かない割引
掲載日・更新日 記載なし いつ時点の価格か確認できない

時間の差は、金額の差とは逆を向きます。正規サービスプロバイダはお預り修理で納期の目安が3〜7日。非正規は約2〜3時間で、ただし硬化に4〜6時間。「すぐ直したい」だけで選ぶなら非正規ですが、その日のうちに完成した状態で受け取れるわけでもありません。

なお、この修理店は自社ページの圧着の項で「本来AppleWatchに防水性はありません」と書いています。Appleの耐水性能の説明とは食い違う主張なので、ぼくはこの店を、公開料金以外の事実の出典には使いません。上の表に並べたのも、この店が自分の取引条件として書いている内容だけです。

比較した結果、ぼくならこの7段階で決める

  1. 写真の「80%」がどの画面かを分ける。「設定>バッテリー>バッテリーの状態」の最大容量でなければ、劣化の情報はゼロとして扱う。
  2. 初期化前の画面写真を頼む。消去済みの個体からは最大容量を読み取れない。通知や名前が映らない形で一度だけ頼む。
  3. 世代を確定する。Series/SE/Ultraと第何世代か。ここが決まらないと、足す金額が決まらない。
  4. その世代の上乗せ額を決める。Ultra 1〜3/SE 第1〜3世代/Series 6〜11なら20,700円。非正規に回すなら、20,700円から差額(900〜11,900円)を引いた額。Series 5以前は公開価格が無いので、見積りを取るまで足す数字を確定させない。
  5. 買値+上乗せ額を出して、状態がひとつ上の個体と比べる。本体交換まで行けば52,800円以上なので、そこに届く価格帯なら別の個体を見る。
  6. アクティベーションロックを確認する。「探す」が外れていない個体は、使えないだけでなく修理にも出せない。ここが済むまで5に戻らない。
  7. 膨らみ・発熱・浮き・充電の不安定が申告されたら、計算に入らず止める。金額の比較より前に落とす。

そのまま使える確認文

購入を検討しています。初期化の前に、通知や個人情報が映らない形で「設定>バッテリー>バッテリーの状態」の最大容量が分かる写真をいただけますか。あわせて、世代(Series・SE・Ultraと第何世代か)、バッテリーのサービスや点検の表示が出ているか、充電の反応、突然の電源オフ、異常な発熱、再起動の有無、そしてアクティベーションロックを解除できる状態かどうかを教えてください。

聞きたいのは「状態がいいか」ではなく「最大容量の画面と、世代」の二つです。この二つが返ってくれば、その場で買値に上乗せ額を足して並べられます。返ってこなければ、上乗せ額を丸ごと足した総額で比べます。

買う・追加確認・見送る

買う最大容量の画面と世代が確認できて、買値+上乗せ額が、状態がひとつ上の個体より安い。
追加確認すでに消去済みで画面を出せない、世代が特定できない、写真が充電残量しかない。
見送る膨らみ・発熱・浮き・充電の不安定がある。アクティベーションロックが外せない。
中止条件:膨らみ、異常な発熱、画面やケースの浮き、充電中の不安定。このどれかが疑われる個体は買いません。ここだけは数字の線を置きません。何ミリの浮きから不可、何度から不可という基準を、Appleも修理店も公開していないからです。無い基準を自分で作ると、けがの側に外れます。Appleは損傷したバッテリーを使用しないよう案内しています。自宅で開けたり、押し戻したりしないでください。疑わしければ買わず、手元にあるなら正規サービスプロバイダへ相談してください。

よくある質問

Apple Watchのバッテリー交換代はいくらですか。

料金表を公開しているApple正規サービスプロバイダの保証外修理料金で、20,700円(税込)です。対象はUltra 1〜3、SE 第1〜3世代、Series 6〜11のみ。Series 5以前はこの表に行がなく、見積りを取るまで金額が出ません。

Apple Watchのバッテリー交換は公式にいくらですか。

一行では書けません。Appleが「Apple正規サービスプロバイダは、サービス料金を独自に設定している」と明記していて、Apple自身の見積り欄も税別表示だからです。税込20,700円と横並びに比較できないので、この記事にAppleの金額は置いていません。

バッテリーは80%以下になったら交換したほうがいいですか。

中古なら、80%割れだけで決めなくて大丈夫です。Appleの「80%を下回ったら追加料金なしで交換」はAppleCareの特典で、製品保証は「通常の使用によるバッテリーの劣化」を対象外と同じページに書かれています。中古はAppleCareが引き継がれていないのが普通です。

アップルウォッチのバッテリーは何年くらいで交換するのですか。

年数では出せません。Appleが公開しているのは「フル充電サイクルを1,000回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計されています」まで。1回の充電が1サイクルとは限らないので、年数に割り直すと短く見積もりすぎます。

非正規の修理店のほうが安いですか。

世代によります。公開料金表で引き算すると、差額はSeries 6・SEの11,900円からUltra 第2世代の900円まで開きます。Appleは「必ずAppleまたは正規サービスプロバイダに依頼してください」と案内しているので、900円差なら正規を選びます。

参考資料